転職したら双子のイケメンがついてきた


「ねえママ、これからもずっと居てくれるんでしょう??」


オモチャの箱を嬉しそうに眺めながら。


「そ、そうね、もちろんよ」


苦しい。
子供に嘘をつくのは。


「このご本、読んで??」


ベッドに腰掛けて、小さな声で絵本を読む。


「いつもと違うよ??」


「えっ!?な、何が!?」


「読み方が、いつもと違うよ。ママ」


些細なことかもしれない。
けれど子供は敏感だ。気付かれたのか。


「あんまり大きな声では読めないから、ね??」


ごまかしてみた。


「……違うよ。なんか、うまく言えないけど、いつものママと違う」


悲しそうな、泣きそうな顔になる。こういうとき、どうすれば。


母親の癖なんて知らない。
見たこともない人の雰囲気なんて、真似できない。



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