転職したら双子のイケメンがついてきた


舌打ちすると、


「クビとか言ったかもしれねえ、けど別れるとか言った覚えはねえぞ。他の男に口説かれて、舞い上がってんじゃねえ」


弥刀さんをじろりと睨む。


「かんたには関係ない」


混乱している弥刀さん。私も混乱している。
何かがおかしい。


「こんなところに居やがったか」


息を切らせて壬言さんが来た。


「…これは??」


弥刀さんも呆然として言葉をなくす。ますます混乱している。


どういうことか、これは。
そういえばまた、夢で見た光景だ。
壬言さんがふたり。
そして白い空間。
同じ顔、同じ風貌、同じ口調。


ふたりとも無精髭が伸び、髪も縛っていない。


あえていうなら服装か。
壬言さんはモスグリーンのTシャツにカーゴパンツだ。


「……真言、さん??」


先に声を掛けてきた、真言さんと思われる方に声を掛ける。


「……ああ、真言だよ」


ぶっきらぼうに言い放つ。
頭はぶつけたはずだけど、まさかこんなことになろうとは。



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