転職したら双子のイケメンがついてきた
「えっ…??」
目の前で、ウサギが持ち上げられ、柚希の体が浮いた。
「壬言さん!?」
フェンスの向こうから横に伝って来ていた壬言さんが、柚希のお腹を持ち上げて抱きかかえた。
「……世話焼かすな、……バカ女」
歯を食い縛って、2人分の全体重を片手に負担をかけないように、バランスを取りながら。
ここまでの荷重は想定外だろう。下手をすればフェンスも危ないかもしれない。
舌打ちすると、そのまま横に移動してよじ登る。
すごい腕力だ。
落ちたら無傷では済まない。
「受け取れ」
言うと上から下ろした。
「よかった!!柚希!!」
思わず抱き締めたけれど、気を失っていた。よほど怖かったのだ。道理で重かったはずだ。
意識のない人間はとくに重い。
「……お姉ちゃん??……僕??」
屋上から中に入ると、気が付いて柚希を立たせる。
弥刀さんが走って来ると、ぱん、と柚希の頬をはたいた。