転職したら双子のイケメンがついてきた


そして。


「有り難うございました。これ、僅かですが、せめてお車代として」


弥刀さんに頭を下げられ封筒を渡された。


心付けの依頼料だ。さすがに無料ではと思ってくれたようだ。


「…ご期待に添えなくて。私なんかよりいい人と、きっとご縁がありますよ」


仏様だった真言さんの言葉がよぎった。受け売りですけどね、と。


病室を出ると真言さんがいた。
松葉杖を片手に、もう怪我はほぼ治って動けるので、通院することになった。


真言さんも鍛えているのか、治りが早いようだ。どこを怪我したのかもわからないけれど、骨折とかはしていないようだ。


「やっぱり、蕁麻疹出たみたいだな」


「…あの、私、やっぱり」


これで辞めますと言おうとしたけれど、遮られた。


「次の依頼が待ってるぞ。休んでる暇ねえからな」


やっぱり気持ち悪い。
なんか違う。
仏様が閻魔大王になった。嘘をつくと舌を抜かれる。


「…元に戻らないんですね」


ため息混じりに。


「いいじゃねえか、このままで。なんか不満でもあるのかバカ女」


あああ。
見た目は同じでも、言ってるのは真言さんなんだもんな。


そう思うと釈然としない。
肩に腕を絡ませる。



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