転職したら双子のイケメンがついてきた
「実は去年の夏頃、知り合いの家で家政婦をされている方と少し親しくなりまして」
紙コップをケースに入れた温かいお茶を飲みながら。
「その方が譲り受けた猫を、お屋敷では飼えないので、いっとき預かってほしいと言われまして。今年には辞めるつもりだから、引き取れるだろうという条件付きで」
書類の内容と照らし合わせる。
「ところが、お屋敷ごと引っ越してしまったようで、連絡がつかなくなったんです」
「困りましたね」
「そのまま飼えばいいのでは??」
真言さんが優しく問いかける。
「それができればいいのですが、母が猫アレルギーなもので、私の部屋にキャリーケースに入れたままで。来年には進学で家を出ないといけなくて」
「俺もアレルギーだからここには置けない」
素っ気なく。
「できれば、飼い主に返してあげたいんです、もしくは里親を。お願いします」
美人に頭を下げられた。
それでも壬言さんは近付こうともしない。
「何とかしてみましょう。頭をお上げください」