転職したら双子のイケメンがついてきた


「どうかしましたか」


「あなた、いえ、ミヤマ先生」


「…あなた??」


「し、主人です!!」


慌てて怯えたように、現れた熊のような巨体の白衣の男の後ろに隠れる。


こんなことで怖がるようにも見えないが。予想外の展開にしどろもどろになる真言。


「あっ、いえ、その」


よく見ると、亭主の名札が美山になっている。ややこしい。
黒縁眼鏡を直すと、まじまじと真言を見る美山。


「えっと、こちらで先日お世話になりまして、お礼に伺ったんですが」


地味にショックを隠せない真言。なに気に動揺する。初めてのパターンだ。


そりゃ落ちないよな、と。
しかも熊に惨敗とは。1ミリも敵わなかった。


「この人、私を脅そうとしたの!!」


しかもそっちか。
まずい。


「いえあの、すみません。人違いで、失礼しました!!」


「そりゃそうだ、よくある勘違いだよ爽(サヤカ)」


ガハハと笑い飛ばされ、苦笑いする。危うく熊に返り討ちにされるところだ。


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