転職したら双子のイケメンがついてきた


「クソッ!!どこだ!?バカ女!?」


大きな声で呼ばれる。
すぐそこにいるのに。
声が出せない。


柚希は、ふと見ると、暑さと恐らく熱で体力を消耗し、さっき目隠しを外したので精一杯だったようだ。


ぜいぜいと、苦しそうに息を吐き、なんならひゅーひゅー言っている。


呼ぶほどの余力も、暴れて音を出す力もなさそうだ。
可哀想に。


しかし困った。


音を出すにも後ろ手に縛られていては。もちろん足の自由も利かない。


どうすれば。


「ううっ…」


ガンガンど、叩く音がする。
順番に叩いて反応を見ているようだ。
どこかで反応がないか。


それにしても、ガス臭い。


ふと見ると、カセットガスのボンベが転がっている。
何かの拍子に口が壊れて残っていた中身が漏れているようだ。


こんなところにまで、壊し屋が。あああ。



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