転職したら双子のイケメンがついてきた


足だ。
こうなったら足しかない。


体を捩って、寝転がったまま、何とか踵を上にして、スチール製のドアを内側から蹴った。
力を込めて思い切り。


ガン!!ガン!!


「ここか!?」


すぐそばで声がした。
蹴り続ける。


「鍵は!?鍵はねえのか!?」


壬言さんが怒鳴る。


「壊れたんだよどっち道」


殴られた男が意識を取り戻して、壬言の腕を掴むと殴り返した。


「……って」


よろめく壬言。
そのまま腕を捕まれ背負い投げされてしまう。


「壬言!!」


また襲ってきたサクラの足を掬うと、腕を掴んで投げた。


「出来ることなら、女性に暴力は振るいたくないんですけどね」


手際よく腕を捻り上げると、着ていた上着で柱に括り付ける。


何か使えるものはないか。
辺りを見渡す真言。



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