転職したら双子のイケメンがついてきた


ガツン!!!
ドアに刺さるけれどドアは開かない。もう一度振りかざす。


ガシャン!!!
と音がしてドアノブが弾け飛んだ。さらにドアを蹴破ると、ドスン、という音を立てて、きれいに外れた。


傷だらけの、ぼろぼろの姿が、やたら格好よく見えた。


「みことさ…げほっ」


思わず咳き込む。
ホコリが舞い、ガスが逃げる。


「チビはどこだ」


「………おく、に」


やっとの思いで顔で指し示す。


奥に滑り込むと、柚希を小脇に抱える。そのまま私を俵担ぎして、外に出る。


はあはあと、息を切らせるその姿に見惚れた。


手と足のロープを解きながら、突っ慳貪に言う。


「…ジロジロ見てんじゃねえ」


「自惚れないでください、気のせいです」


いつかのセリフを言い返すと、抱き着いて唇にキスをした。


「……やっぱ、可愛くねえ女」


ボソッと呟いて舌打ちするけれど、言葉とは裏腹に赤くなる。



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