転職したら双子のイケメンがついてきた
「僕は緋居眞城(アカイ マシロ)と申します。刑事課の2年生で、ヒヨッコです」
救急車の中で。
ペコリと頭を下げるけれど、そこはかとなく威圧感がある。
柚希をベッドに寝かせ、酸素マスクをあてがい、脈を取ったり血圧を計ったりしている。
小さな体が痛々しい。
落ち込んで見つめる私。
「……ごめんね、柚希。何もしてあげられなくて」
そんな私のそばに来ると、
「きっと大丈夫だよ。まーちゃんはよく頑張った」
わざとらしく、昔の呼び方をする眞城くん。
「じ、10年は、海外に住んだりして、会わなかったよね」
何とか空気を和ませようと、距離を取る素振りを見せつつ、ビクビクしながらチラチラ壬言さんを見る。
けれど、そっぽを向いて見ようともしない。
「緋居さんと仰いますと、もしやお父様は警察関係者では??」
「ご存知ですか??光栄です。貴殿方はちなみに、彼女とはどういうご関係で??」
「しがない花屋ですよ。彼女は従業員で、よく働いてもらって助かってます」
あくまで穏やかに、にこやかに応える真言さん。
けれどお互い、空気が冷たい。
そしてむやみに身分を明かさないのも、賢いやり方だと思う。