転職したら双子のイケメンがついてきた


「知り合いが入院してて、見舞いに来たんですけど、思わぬ情報仕入れまして、あっ、僕、大阪で雑誌記者してるんです。出張で」


「……はあ」


名刺を渡される。
週刊誌のライターをしているらしい。


「大物のスキャンダルやら、もろもろ、スクープしてまして」


声を潜める。
テレビかドラマでしか見ないようなことを生業にする人間も身近にいるのかと、成長振りに驚く。


私なんて、バイトで花屋がやっとこさだというのに。


沙紀もそうだけど。
みんな頑張ってるんだ。すごいな、と他人事のようにひとり感心する。


沙紀が、真言さんの前に行くと、


「ところで、ちゃんと守ってくれたんですね、真来のこと」


「えっ??何の話??」


キョトンとする私に、


「お灸をね、据えたのよ。あなたたちのせいで真来が拐われたって、デートやめてまで誘ったのにって」


「……沙紀」


そこまでしてくれたのかと、改めて胸が熱くなった。



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