転職したら双子のイケメンがついてきた


「ところで私の声の記憶って、そんなに前からだっけ??」


「知ってたよ??あれ??自覚なかったの、本人だけ!?」


驚く沙紀と松嶋くん。


「中学の頃からあったよ、その感じ。みんな気付かないような、細かい先生の癖とかもよく見てたじゃん」


「そ、そうだっけ」


だから、真言さんと壬言さんの区別もつくのかも知れない。
無意識に感じていることなので、改めて言われるまで気付かなかった。


「そういう観察眼、洞察力、重要やで。よかったらウチに来うへんか??」


「ええっ!?」


松嶋くんに、肩に腕を回されて慌てる。また壬言さんに睨まれる、と。


「あっ、いやあの」


「仕事の勧誘ついでに、彼女になってもらおかな~」


「離れろ」


壬言さんが動いた。
そのことに驚く私。
こんなこと今までなかった。


「こいつは俺の、俺らの仲間だ」


そっちですか!?


ああ~~、と沙紀が頭を抱える。


「何で、彼女だ!!って言えないかなあ!?」


「………っ!!ち!!違う!!」


真っ赤になって否定する。
けれど、あからさまに動揺して髪をわしわしと掻く壬言さん。


初めて見た。こんな顔。



< 254 / 383 >

この作品をシェア

pagetop