転職したら双子のイケメンがついてきた
「ところで私の声の記憶って、そんなに前からだっけ??」
「知ってたよ??あれ??自覚なかったの、本人だけ!?」
驚く沙紀と松嶋くん。
「中学の頃からあったよ、その感じ。みんな気付かないような、細かい先生の癖とかもよく見てたじゃん」
「そ、そうだっけ」
だから、真言さんと壬言さんの区別もつくのかも知れない。
無意識に感じていることなので、改めて言われるまで気付かなかった。
「そういう観察眼、洞察力、重要やで。よかったらウチに来うへんか??」
「ええっ!?」
松嶋くんに、肩に腕を回されて慌てる。また壬言さんに睨まれる、と。
「あっ、いやあの」
「仕事の勧誘ついでに、彼女になってもらおかな~」
「離れろ」
壬言さんが動いた。
そのことに驚く私。
こんなこと今までなかった。
「こいつは俺の、俺らの仲間だ」
そっちですか!?
ああ~~、と沙紀が頭を抱える。
「何で、彼女だ!!って言えないかなあ!?」
「………っ!!ち!!違う!!」
真っ赤になって否定する。
けれど、あからさまに動揺して髪をわしわしと掻く壬言さん。
初めて見た。こんな顔。