転職したら双子のイケメンがついてきた


「真来、飲んでるか~」


松嶋くんが絡んでくる。
もうすっかり出来上がって、頬を赤らめ、目が座り、あからさまな酔っぱらい状態だ。


「松嶋くんは!!真来はダメだよ!?ちょーイケメンの彼氏いるんだから!!」


相変わらずの、お嬢様スタイルな茉里が絡んでくる。
もう、どうにでもなれだ。


でもなんか、久し振りだなこういう感じ。結局お薬を飲んでいるので烏龍茶になったけど。


この空気が楽しい。
癒される。


駅前の裏手に当たる、ちょっと隠れ家的な、古民家風で個人経営の居酒屋らしい。


玉暖簾で仕切られた半個室を借りて、近場のメンバーでの飲み会だ。


普段はパリッとしたキャリアウーマンだけれど、こういうところで気取らないのが沙紀らしい。


「おかーさん、ジョッキお代わり」


「はいはい、飲み過ぎないでよ??嫁入り前なんだから」


割烹着姿の女性が苦笑いする。
ややぽっちゃりした愛想のいいおば様だ。


「はぁい、気を付けます」


よく来るらしく、親しいらしい。


「けっこん~~したいんですよう。もう~あんたでいいや」


松嶋くんに絡み出す。
おいおい。


「重い重い」



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