転職したら双子のイケメンがついてきた
「だから甘く見るなって言っただろ」
店に付くなり壬言さんに冷たくあしらわれる。
とりあえず何とか捕まえてキャリーケースに戻し、畳には新聞を敷いて出勤した。
朝からボロボロで、もうぐったりだった。
「猫アレルギーなんて言ってないで、預かってあげればいいじゃないですか!?」
「猫アレルギーなんて誰が言った」
「いや、アレルギーって、言いましたよね!?」
「俺は生物(ナマモノ)アレルギーだ。人間も含めてな。女子供、動物はとくにな。蕁麻疹が出る」
はああ!?
「何ですか!?知りませんよそんなの!!聞いたことありません!!」
呆れたあまり、思わず袖を掴んだ。袖越しに微かに肌に触れた。
「触るなってんだろうが!!」
腕に、じわっと蕁麻疹が出た。本物のアレルギーだ。
「ご、ごめんなさい…」
さすがに謝る。まさかこれ程とは。舌打ちする壬言さん。
「これでよく接客できますね」
「…だから配達だけだってるだろ。軍手はめてても怪しまれないからな」
軍手を手にする。
「…で、何か調べられたのか」
事務所に入ってきた真言さんに、ぶっきらぼうに話す壬言さん。
「残念なお知らせです」
「何ですか??」
「その方は今、服役中です。つまり猫どころではないということですね。確信がなかったので言いませんでしたが、去年新聞で犯罪者として載ってました」