転職したら双子のイケメンがついてきた
―――そして。
お店に入る前に、車の中で不意に近付いて、ネックレスを付けてくれた壬言さんにドキッとした。
いい匂いがした。
って喜んでる場合じゃない。
「しっかり聞き込みして来いよ」
いや、だからって個人情報簡単には教えてもらえませんってば。
「いらっしゃいませ。ご予約の、榮喜様、ですね」
白を基調とした2階建ての建物に、首元まである真っ白な制服を纏い、髪を綺麗に梳き上げた女性スタッフに丁重に迎えられ、緊張する。
「…あっ、…はい」
顔がひきつる。
こういう女性らしい場所は、どうも苦手だ。ガテンでもないけれど、むしろ土臭い、さばけた現場が落ち着く。
入り口を入って狭い廊下を抜ける。両サイドにベージュのカーテンで仕切られた個室がある。
壁一面が、全て真っ白だ。
物音もほぼしない。
「こちらへどうぞ」
スタッフに案内され、カーテンを開け奥の個室に入る。
なんじゃこりゃあ、と
また言いかけて飲み込んだ。
「本日はフェイシャルからデコルテまでのオイルマッサージとメイクまでのコースでよろしいですね??」
聞いてませんが、と思いつつ、
「あっ、はい」
「いらっしゃいませ、緋居様」
中に入ってカーテンを閉めたとき、外で声がした。