転職したら双子のイケメンがついてきた


「危ないところでしたね」


「みっ、みことさん!?」


奥さまが大満足で帰った後。


先に施術とお会計を済ませ、車に戻って待っていた私に、にっこりと微笑む姿は、真言さんではなかった。


「当たり前だ。間に合う訳ねえだろ。あいつは店番だ」


ふん、と運転席に乗り込む。
本当に別人だ。


「よくなりきれますね」


呆れる私に、


「あいつのやりそうな癖はお見通しだからな。っていうか。てめえ、ネックレスはどうした」


「あ"っ!!」


「あっ、じゃねえ。加湿器ん中なんぞに落としやがって。お陰でICレコーダーがパーじゃねえか」


「れ、レコーダー!?」


何のためにわざわざ付けてくれたのかと思ったら、そういうことだったのか。


ドキドキして損した。


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