転職したら双子のイケメンがついてきた
日暮れどき。
ラフなジャケット姿の緋居に連れられて、港の見える防波堤に案内された、いつものお嬢様スタイルの茉里。
メールで、仕事帰りに近くの公園に来てほしいと呼び出され、待ち合わせをして連れてこられたのだ。
「他の人には内緒だよ??」
と念を押された茉里はもちろん1人で、いそいそと来ていた。
何台か並んで陸地に繋がれたクルーザーや、大型のボートがある場所だ。恐らくそれぞれ、どこかのお金持ちの個人所有のものだ。
階段を下り、ひとつの中型クルーザーに案内された。
中に入ると豪華なシャンデリアに照らされた室内は、少人数ならパーティーできそうな空間だった。
ディナーが並べられている。食事係と運転士は室外で待機していた。もちろん緋居家の持ち物だ。
「お誕生日おめでとう。茉里」
「覚えててくれたの??」
「もちろんだよ、ハニー」
「はっ、ハニーだなんてっ!!」
とどめに花束を出される。
百本の薔薇だった。
「気に入ってくれた??」
「もっ、もちろん!!緋居くんこそ私なんかで、ホントにいいの!?」