転職したら双子のイケメンがついてきた

「君しか考えられない。茉里」


言うと、顔を近付けまたキスをする。慣れたものだ。


これまでどれだけの女性を口説き落としてきたのか。そんなことはもうどうでもよかった。


今、目の前にお金持ちのイケメンがいる。私を愛してくれる。
待った甲斐があった!!
と、茉里は泣きそうだった。


自分だけなかなか彼氏もできず、嫁ぎ損ねて、焦っていた。


事務の仕事の傍ら、お店に手伝いに行くことがあっても、みんなに弄られた。


「あのっ、今度、由利の結婚式があるの。同伴してもらえない??



ピクリと反応する。


「……由利って、…松川…由利??」


「覚えてる??」


「もちろんさ。そうなんだ、…招待されたんだ」


「そうなの!!悔しいから、緋居くんのこと紹介して自慢したいの!!ダメかなあ!?」


「構わないよ」


にっこりと微笑むが、くるりと背を向け、冷たい目をする。


「……そうなんだ、由利がね…」


「今日のことも、みんなに自慢したいなあ」


うふふ、と、本当に幸せそうだった。


「…生きて帰れたらね」


ボソッと呟いた。


「えっ??なに??」


「なんでもないよ??さあ、食べよう」


< 286 / 383 >

この作品をシェア

pagetop