転職したら双子のイケメンがついてきた
「君しか考えられない。茉里」
言うと、顔を近付けまたキスをする。慣れたものだ。
これまでどれだけの女性を口説き落としてきたのか。そんなことはもうどうでもよかった。
今、目の前にお金持ちのイケメンがいる。私を愛してくれる。
待った甲斐があった!!
と、茉里は泣きそうだった。
自分だけなかなか彼氏もできず、嫁ぎ損ねて、焦っていた。
事務の仕事の傍ら、お店に手伝いに行くことがあっても、みんなに弄られた。
「あのっ、今度、由利の結婚式があるの。同伴してもらえない??
」
ピクリと反応する。
「……由利って、…松川…由利??」
「覚えてる??」
「もちろんさ。そうなんだ、…招待されたんだ」
「そうなの!!悔しいから、緋居くんのこと紹介して自慢したいの!!ダメかなあ!?」
「構わないよ」
にっこりと微笑むが、くるりと背を向け、冷たい目をする。
「……そうなんだ、由利がね…」
「今日のことも、みんなに自慢したいなあ」
うふふ、と、本当に幸せそうだった。
「…生きて帰れたらね」
ボソッと呟いた。
「えっ??なに??」
「なんでもないよ??さあ、食べよう」