転職したら双子のイケメンがついてきた
――そして二十歳の同窓会も、偶然緋居の仕事の都合で参加できず、会うことはなかった。
5年後の同窓会に参加した彼女は、緋居のことなど1ミリも覚えておらず、普通に友人として短い世間話で終わった。
歪(ユガ)んでしまった、歪(ヒズ)んでしまった時間は、もう取り戻せなかった。
弄ばれた。こんな女に。
裂かれたプライドと積年の恨みだけが残ってしまった。
足を踏んだ方は、気付くどころか覚えてすらいない、という言葉を、身に染みて痛感した。
―――茉里を抱きかかえると、狭いデッキに立つ緋居。
「……ごめんな、お前には恨みはないんだけど。親父の件で知られたくないこともあるし。…俺には重い。……無理なんだ」