転職したら双子のイケメンがついてきた


「永遠にお休み。お姫様」


囁くと、停止したクルーザーのデッキから茉里を滑り落とす緋居。その瞬間、フラッシュが焚かれた。


ザブン、と音がして、茉里が落ちて暗い海に飲み込まれた。


「………!?」


光った方を見る。


「……な……」


数メートル先に、凄い早さでクルーザーが追いかけてきて、脇に回り込んだ。


と、カメラを置いた松嶋が、来ていた羽織りシャツを脱ぎ捨て海に飛び込んだ。


「松嶋くん!!??」


さすがに全員驚いた。


「あいつ!!泳がれへんねん!!」


見事なクロールで茉里の落ちた場所に泳いで行く。


「えっ!?茉里も!?」


「えっ!?も、って真来も???」


変なやり取りをしている間にも、緋居くんは操縦席に戻って逃げようとする。


「動かないでください!!今動いたら…」


下に人がいるのに、操作を誤ったら大変なことに、と。


けれど想像以上に松嶋くんは機敏だった。


「お~い!!こっちや!!」


もう安全な場所に避難していた。


「このまま陸まで行くよって、そっちは任したで!!」


ぐったりした茉里を抱えて、浮かびながら手を振る松嶋くん。
強かった。



< 299 / 383 >

この作品をシェア

pagetop