転職したら双子のイケメンがついてきた
「永遠にお休み。お姫様」
囁くと、停止したクルーザーのデッキから茉里を滑り落とす緋居。その瞬間、フラッシュが焚かれた。
ザブン、と音がして、茉里が落ちて暗い海に飲み込まれた。
「………!?」
光った方を見る。
「……な……」
数メートル先に、凄い早さでクルーザーが追いかけてきて、脇に回り込んだ。
と、カメラを置いた松嶋が、来ていた羽織りシャツを脱ぎ捨て海に飛び込んだ。
「松嶋くん!!??」
さすがに全員驚いた。
「あいつ!!泳がれへんねん!!」
見事なクロールで茉里の落ちた場所に泳いで行く。
「えっ!?茉里も!?」
「えっ!?も、って真来も???」
変なやり取りをしている間にも、緋居くんは操縦席に戻って逃げようとする。
「動かないでください!!今動いたら…」
下に人がいるのに、操作を誤ったら大変なことに、と。
けれど想像以上に松嶋くんは機敏だった。
「お~い!!こっちや!!」
もう安全な場所に避難していた。
「このまま陸まで行くよって、そっちは任したで!!」
ぐったりした茉里を抱えて、浮かびながら手を振る松嶋くん。
強かった。