転職したら双子のイケメンがついてきた
階段のある場所まで泳ぎ着くと、
「…くそ、アホが。…重いねん、自分」
聞いていないことがわかっていて、ブツブツと文句を言いながらも、助け出せたことにホッとする。
意識がない上に、水を飲み、服も水を吸っているので相当重い。
胸を押して溺れて飲んだ水を吐かせ、人工呼吸する松嶋。
一応知識も経験もあった。
「……あれ??ここは……」
ぼんやりと目を開けた茉里。
「もう大丈夫やで、茉里。今、救急車来るからな」
「……きゅうきゅう……???あなた、誰??」
「はあ!?お前、なに言うて…」
言葉をなくした。
視線がぼんやりしている。
「…俺が付いてるからな。わからんでもええ。心配すんな」
「……ありがとう」
よくわからないまま、妙に安心した感じに取れた松嶋。
冷えた体を静かに抱き締めた。
「……あんな奴にのこのこ着いていきくさって、ホンマにアホや…」
茉里から見えないように項垂れると、涙が頬を伝った。