転職したら双子のイケメンがついてきた
「こんにちは」
後ろに着いてきたのは、キクさんだった。
「えっ!?えっ!?」
「うちのお婆ちゃんがいつもお世話になります」
にっこりと微笑んで、ぺこりとお辞儀した。
天使にお辞儀された。
眩しい。
「いつだったか、骨折して入院したって言ってたろ。随分良くなって、学校休んでるときに居合わせて手伝ってもらったんだ」
「ああ…」
それにしても。
「『よろず屋』さんて、お花屋さん以外にも、なんでもしてくれるんでしょう??」
「…まあ、ことにもよるがな」
この女子高生から、この言葉を聞くとは。
と、壬言さんも面食らったようだ。
「ほらあ。友達の間でも話してるんだから。『よろず屋』さんって」
「そんな我が儘言うもんじゃありません。そんなことされてるわけないでしょう??」
キクさんが口を挟む。
けれど聞く耳を持たない。
「お願いがあるんですけど、聞いてもらえませんか??あっ、わたし、望絵っていいます。出口望絵(デグチ モエ)」
どっかで聞いたような名前だな。しかも名前も可愛い。
ますます劣等感が。
「彼氏の振りしてほしいんです。従姉妹のお姉ちゃんが結婚詐欺に遭っちゃって」