転職したら双子のイケメンがついてきた


「仰る意味がよく…」


「あなたは??」


間に入った私を怪訝な顔で見る。第一印象と違って、ずいぶん不躾な子だ。


「お構い無く、続けてください」


言いかけた私を壬言さんが抑え、話し掛ける。
彼女です、とか言ってくれればいいのに!!と。少しムッとする。


壬言さんが移った。


「わかるように、話していただけませんか??」


「そんなこと話して、この子は!!恥ずかしいだけじゃないの!!警察に相談した方が」


「お婆ちゃんは黙ってて」


こちらも、孫にきつく止められ、何も言い返せなくなってしまった。よせばいいのに、という顔で。


「僕たちは口が固いので、その点はご心配なく。相談事も愚痴も、洩らしたことないでしょう??」


「まあ、それは…」


「お姉さん、松川由利って知ってます??同じくらいの年で、たぶん学区も同じだと思うんですけど」


「えっ!?」


ここでその名前を聞くとは。
よく知ってますとも。


というより、今回の騒ぎはその彼女のせいで巻き起こっている事件なんだから。


とはいえ、名前と、『男を手玉に取る女』というイメージだけが先走りして、当の本人には会ってもいない。


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