転職したら双子のイケメンがついてきた

柔道経験者の龍人は分厚い唇の、今は短めの茶髪で派手な服装だけれど、180㎝で肩幅の広い巨体だ。
高校は中退していた。


新士は書道部で、色白眼鏡の草食男子だった。


一見真逆のふたりは幼馴染みで、何かとお互いに助け合っている仲良しだった。


そして、


油断したようだ。
龍人に足を掬われ、バランスを崩した萌絵。


起き上がった新士に両手首を持たれ、壁に押しつけられてしまった。


「………っ!?」


無理やり唇を押し付けられ、身動きが取れなくなる。


膝蹴りを入れようと動かした足は、いつの間にか打ったらしく激しい痛みが走った。


「……か、たすけて……」


生まれて初めての屈辱だった。


悔しい。
何のために鍛えたのか。


自分がまさかこんな目に遭うとは。誰かに助けを求めるとは。



< 317 / 383 >

この作品をシェア

pagetop