転職したら双子のイケメンがついてきた
―――数日後。
『何度も言うようだけど、暇じゃないんだからね!?』
花屋の事務所でまた、真言さんのスマホに玖美さんの声が響いた。
もう慣れたもので、通話にすると耳から離す。
何だかんだ言いながら、いざとなると手助けしてくれる。
真言さんの人徳と魅力故だろう。
別れたとはいえ、やっぱりまだ惚れてるんだなあ、とつくづく思う。
「で、何かわかりましたか??」
『やっぱりうちにも被害届け出てて、調査対象だったみたいよ、奴は』
「そうですか」
「情報漏洩になるから、本当はダメなのよ!?わかってる!?」
『埋め合わせは必ず』
その一瞬、もの凄く色っぽい声で相手に囁く。
ズルいなあ。
私まで落ちそうだ。
と、
私の後ろから近付くと、目の前の棚の上のファイルを取るどさくさに、わざと背中に密着する壬言さん。
「何度も言うが、惚れるなよ」
耳元で囁かれて、ドキドキしてしまった。
「協力願います、真来さん。沙紀さんも呼んでください」
「あっ、はい…」