転職したら双子のイケメンがついてきた
翌日。昼間。
私と沙紀はスーツ姿でとある雑居ビルの前に来ていた。
ここで夜のお仕事をするための面接事務所があるらしい。
その部屋のドアが開いて、いかついお兄さんが顔を出した。
黒いスーツの上下に、真っ赤なネクタイをしている。
「何だ!?用か!?」
「あっ、あの、ここでアルバイトの面談があるって聞いて。友達に付き添ってもらって来たんですけど」
上から下まで舐めるように見ると、顎をしゃくって合図する。
「…ああ、入んな」
沙紀と顔を見合わせると、うん、と頷いて部屋に入る。
沙紀は本職で主任クラスなのでもちろん副業は禁止だし、そもそも時間もない。バレたら最悪、クビだ。
けれど、こういうパターンでは大体連れが受かる。
壁の上の方に申し訳程度の窓しかない、薄暗い通路の奥に通される。どこまでも薄暗い部屋に案内され、ビクビクしながら入る。
「……失礼します…」
おずおずと中に入ると、部屋の入り口奥の隅に置かれたテーブルがあった。
責任者らしいひとりの男が、ふかふかの椅子に座っていた。
いわゆる社長デスクだ。