転職したら双子のイケメンがついてきた



そしてまた翌日。


神前財閥の系列サロンでフルメイクを施してもらい、戦場に出向いた私。


髪を巻き、ハーフアップにして用意されていたドレスを纏い、慣れないヒールを履いた。


さすがにピンヒールは無理だったけれど。
それなりには見えると思われた。


いや、自画自賛としておこう。


店名のごとく、ダークブルーの壁の色。星空を模した壁。ややその明るさを落としたシャンデリア。


非現実的な感覚に陥りそうな、華やかな空間。
お酒が入ればどこにいるのかわからなくなりそうだ。


テーブル席を囲んで談笑する、お金持ちのオジサマたち。


そしてそのオジサマのご機嫌取りをする、どこかの会社の社員たち。


沙紀は遅れての出勤だ。
夜の仕事なので遅めでも問題はない。


もの凄くぎこちない接客だ。
当然ながら席に付くとオジサマの話相手になる。


もちろん話し相手だけでなく、お手て、おみ足も場合によっては付いてくる。


席につき、グラスに氷を入れお酒を作る。


やったことなどもちろんない。
ああまた、トラウマが甦る。


震える手でグラスを渡そうとするとその手を優しく触れてきた。
ぞくりとし、ヒイッ!?となる。



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