転職したら双子のイケメンがついてきた
そしてようやく初日の仕事が終わった帰りがけ。
時間差で1人、更衣室に入った私。
「お疲れさん」
着替えようとした真来に、背後から男が近付いて来た。
面接のときの強面男だ。
190㎝はありそうながっしりした体格。眉間にシワの寄った、いかつい顔で黒ずくめの短髪のグラサン男だった。
よく見ると左目の縁に大きな傷が目立つだけで、はっきりした顔立ちだった。
そしてそんな顔に似合わず、スタッフたちの世話を細ごまとしてくれた。
名前は確か……。
「左樋(サトイ)だ」
ムッとした顔でボソッと。
思い出そうとしているのがバレてしまった。
まだ誰もいない更衣室に押し入ってきて、内側から鍵を掛けられてしまった。
「あんた好みだ。俺の女にならねえか」