転職したら双子のイケメンがついてきた

「分かってんだろうな!?あくまで仕事で潜らせてるんだからな!?他の男となんかあったら、……許さねえ……!!」


最後は声が震えてきていた。


「そんなことになるくらいなら、別の策だってあったはずだ!!」


言って舌打ちする。
苛立って髪をぐしゃぐしゃと掻く壬言さん。


こんなに動揺した壬言さんを初めて見た。
胸が、ズキズキした。


言われてみれば真言さんは、策士のはずだけれどときどきよくわからない行動に出る。


壬言さんを虐げようとしているようにしか見えない、悪魔な部分が見え隠れする。


――もちろん左樋さんのことは、あくまで仕事の関わりで、プライベートで会ったりするつもりはない。


けれど。
あんな職業でありながら、芯は真面目で誠実な人なのかもしれないと、感じてしまった。


あるいは、そういう人間だからこそ、ボスに何かしらの恩があって、他の従業員にも細ごまとした気配りが出来るのかも知れない。



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