転職したら双子のイケメンがついてきた

無言でハザードランプを出すと、車を路肩に止めた。


しかも、壬言さんの行動に助手席に座っている私は驚いた。


「えっ…??」


運転席から助手席に身を乗り出して手を伸ばすと、私のジャンパーのポケットを引っ張り、手を突っ込んで携帯を無理矢理出した。


『左樋さん』と名前が表示されているのをまじまじと見ると、


「えっ!?えっ???」


鳴り続ける携帯の通話ボタンを押すと、電話に出てしまった。


「あぁ、あのっ…」


無言で携帯を構える壬言さん。
ドキドキながらわたわたする私。まずい。
何かがまずい。


『――もしもし??真来さん??』


通話口越しに左樋さんの声がした。いっときの沈黙のあと。何かに気づいた様子だ。


『――初めまして、左樋と申します。真来さんにはいろいろお世話になってます』


ヒイィ!?
助手席で青ざめる。


「………こちらこそ、お世話になっているようで」


ピリピリと張り詰めた空気が伝わる。


『彼氏さんですね??――いずれ、頂きに上がります』


「……仰る意味がわかりませんが」


冷たく応える。



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