転職したら双子のイケメンがついてきた
「……どういう意味ですか」
『その通りの意味。稲垣くんがいい例だね、あれが普通なんだよきっと』
それはそうかも知れないけど。
『で??どうすんのよ、さとっち』
「さと…」
馴染みすぎだろ。
もはや神業だ。
「……どうすればいいかなあ」
『いっそのこと、婚約者ですって言っちゃえば??そんなようなもんなんだし。そこまで気にすることないって!!』
「…そ、そうかな」
沙紀に言われるとなんだかホッとする。
相談ごと自体、人にはしない方だし、ひとりで思い悩んで結局マイナス思考の癖が出て。
先に気づいてくれるのがありがたい。いい友達を持ったと思う。
「ありがとう、ダメもとでやってみる」
『あっ、はぁい!!じゃあね、戻らなきゃ』
お呼びが掛かったようだ。そろそろ昼休憩も終わる頃だ。
電話を切ると、深呼吸して、左樋さんのリダイヤルを押す。