転職したら双子のイケメンがついてきた
―――そのまましばらく飛行した後。
財閥の豪邸の近くにある自衛隊の基地。そこに無事、着陸することができた。
もちろん事前に許可を得て。
「……鼻血、出てるぞ、バカ女」
降りようとした私に壬言さんが珍しくハンカチを差し出してくれた。
汚してはいけないと思うより先に、顔から火が出る恥ずかしさで、
バッ!!
とそれを引ったくり、顔を押さえた。
「あっ…」
しまった、とハンカチを見るけれど、もう遅かった。
白いハンカチが、血に染まって真っ赤になってしまっている。
「ああっ!!あああ、洗って、ちゃんと返しますっ!!」
「……いらねえよ」
呆れる壬言さん。
「………悪かったな、その、……鼻血、出るほど危ない目に遭わせちまって」
あさっての方を向いて頭を掻く。
「ちちち、違いますっ!!これは」
「……またいろいろ、弁償してもらわねえとな」
この人は。
この人こそ自分のカッコ良さに無自覚過ぎて、憎らしい。
なんなんだろうこの人は。
どんどん愛おしくなる。