転職したら双子のイケメンがついてきた
そのままのスマイルで私に振り向くと、
「猫ちゃんが逃げないように見ててあげてください。僕は運んできますので」
言うと荷台から台車を下ろして鉢植えを乗せる。
「へっ!?あっ!?はっ、はいっ!!」
我に帰ると、変な声が出た。
私が動揺してどうする。
「ああ、大丈夫ですよ、猫は出ないようにしてありますから」
「と言いますと??」
壬言さんが優しく問いかける。すごく自然だ。あり得ない。
「私が飼ってる訳じゃなくて、お屋敷に住んでる子なの。だから猫好きな雅人が来たとき以外は半地下に置いてあるの」
壬言さんの営業スマイルに、ぽーっと頬を赤らめて見惚れながら、実にぺらぺらとよく喋ってくれた。
「そうなんですね、あっ、彼女、動物好きなんで、運ぶ間だけ見せてもらってもいいですか」
背中に手を添えて。
イケメンに触れられて、モジモジしながら見惚れる婦人。
「どうぞどうぞ。散らかってますけど」
動物好きといっても、2パターンに分かれる。
犬好きは大抵、自分の犬を触られると喜ぶが、猫好きは噛むから触るなと拒否される。
案外すんなり入れそうだ。