転職したら双子のイケメンがついてきた
「まあどうしたの!?大翔(ヒロト)くん」
「お祖母ちゃんごめん!!ハル逃げちゃった!!どうしよう」
大翔と呼ばれた少年は息を切らして泣きそうになっている。
「お前何やってんだ!」
二人に聞こえないように声を抑えて舌打ちする。
ふと、一台の大型バイクが入ってきた。黒いライダースジャケットに黒いフルフェイスの人物だ。
黒ずくめ過ぎて男か女かもわからない。
無言でそのまま走ると、ハルの前に回り込み止まる。
固まったハルをひょいっと抱えるとそのまままたエンジンを噴かして走った。
まるでぬいぐるみでも抱えるように。
呆気にとられていると、
「バカ!!ボサッとすんな!!追っかけるぞ!!」
壬言さんに怒鳴られて、我に帰ると走った。
「車だ!!乗れ!!」
どう考えても足では間に合わない。
が、目と鼻の先、すぐ脇を流れる大きめの川にこともあろうか橋の上から放り投げた。
「えっ!?ウソ!?」
「マジか…」
さすがの壬言さんも呆然として言葉が出ない。