転職したら双子のイケメンがついてきた
「来たのかバカ女」
しばらくすると、壬言さんが帰って来た。やっぱり目を合わそうともしない。
けれど、妙な違和感を覚えた。
いや、気のせいだ、きっと。
わりと、前の日のことは寝ると忘れる性格だった。
嫌なことや辛かったことはとくに。
「その呼び方、やめていただけません??榮喜真来って名前がちゃんとあるんです」
「うるさいバカ女。それで充分だ」
「マイクロチップはどうでした??」
そうだった。真言さんに言われて思い出す。
「こんにちは」
言っている傍から真依さんが現れた。
「奥へどうぞ」
「失礼します」
戸惑いながら奥に入る。
私も一緒に入る。
店の入り口に支度中のプレートが掛けられた。
「ハルくんの背中に、迷子になったとき用に、マイクロチップというものが埋められていました」
「……マイクロチップ……」
初めて耳にしたようだ。
「そのマイクロチップには飼い主の情報が書かれていまして」