転職したら双子のイケメンがついてきた
「拐われて、川に落とされ、あわや死にかけました」
「えっ!?」
両手で口を押さえ驚く。
青ざめた。
「彼女の咄嗟の判断でなんとかなりました」
「ああっ!!そうなんですねっ!?ありがとうございます……!!」
また手を握られ、赤くなる私。
「えっ!?いや、そんな」
「………溺れて死にかけたのはどっちだ」
ボソッと壬言さんが、ぎりぎり聞こえない声で。
「機械モノなので水没させてしまえば証拠は消せて、運がよければハルくんごと亡き者にできると思ったのでしょう。そうなれば、ただの猫の遺体ですからね」
「ひどい……」
思わず私が呟く。
「で、本題です。飼い主のお名前に、真依さんのお名前が書いてありました。それはご存知ないでしょうね」
「えっ!?どうしてそんな!?飼い主は芳子さんじゃないんですか!?」
「どうやら、亡くなったお屋敷のご主人が、遺書代わりに書くように芳子さんに命じていたようです」
「……何のお話……??」
真依さんと私はキョトンとする。
「つまり、真依さんはあのお屋敷の血縁者、ということです。そして財産の一部を差し上げたいと」
腕組みして壬言さんが口を挟む。
「実は真依さんは、主と芳子の子供で、遺産相続で揉めないためにも、子供は養女として一度外に預けて、芳子を家政婦として置いていた、ということになるかな」
話に付いていけない真依さんに、真言さんが。
「…どうします??」