転職したら双子のイケメンがついてきた
「これを裁判所に提出しても構いませんが、こんなことで裁判を起こしても遺産が減るだけ。あまり賢いとは言えませんね」
「裁判なんて…」
環が青ざめる。
「ちなみにですが、ここにいる皆さん、大翔くん以外、といった方がいいですが。冤罪捏造の罪で相続権はなくなりますが」
玖美さんがバッサリ切った。
「つまり、相続権があるのは大翔くんと真依さんの二人だけ、ということです」
「僕!?」
大翔が驚く。
降って湧いた話だ。
「どうしてそこに赤の他人の名前が出てくるの!?」
弥生が怒りを露にする。
「ハルの体に埋められたマイクロチップに、証しとして名前があるからです。間違いなくこの家の血縁者です。主の証紋も一緒に採取されました」
「私は……」
真依さんが口を開きかける。
いらないと言いましたよねと。
「元もと芳子さんから預かったハルを、真依さんから芳子さんに返したいと言うのが依頼なので、弁護士手数料、その他諸々は引かせて頂きますけどね」
ここまで大ごとになるとは思いもしなかったが。
にっこりと微笑む真言さん。
悪魔だ。