転職したら双子のイケメンがついてきた


お酒は覚えるのも遅く、好きは好きだけど、そんなに強くもない。


最初の二杯までは自分が飲めるものを頼んだけれど、後はお任せで適当に頼んでくれたカクテルを飲んだ。


おまけにだ。
隣で一緒に飲んでいるのは、バイト先の、一目惚れした、もろストライクのイケメンだ。落ちない方がどうかしてる。


こんな奇跡が、私の身に起きるはずがない。


でも、今まさに、手を伸ばせば触れられる距離にいる。
恋に落ちていい人が。


誰のものでもない。
好きですと言えばそのまま抱き締められても反対する者も、ライバルもいない。


あえていうならバツイチというのがネックにはなるけれど。
この際そんなことは取るに足らない。
子供がいるわけでもない。


…………うん???


いないのか???本当に。
知らないぞ、そんなことまで。


「……真言さん、お、お子さんは……」


言った唇を、唇が塞いだ。


「……野暮なことは聞きっこなしですよ??」


どっちだ!?
思ったとき、完全に酔いが回って睡魔が襲ってきた。


ああ、もう、どうにでもなれだ。


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