転職したら双子のイケメンがついてきた
大卒で何10社受けたとか聞いたこともある。どうやって履歴書書いたのか。
書くのも嫌になったりげんなりしたりしないのだろうか。
そんなこんなで、ひと月辺り5社も受けたでしょうか。
もうぐったりですよ。
したい仕事。
これなら出来そうと思えるジャンル。
自分にできる仕事が何なのかわからなくなった頃。
そういうときにこそ、紙の上にはない何かが転がっているものか。
心機一転、暑くもなってきたし、うっとおしくなって髪を切ろうかとも思ったけれど。
稲垣くんの件もあって、今どき失恋で切るのもどうかと思い直し、とりあえず纏まる長さだしと、もう少し伸ばしてみることにした。
後ろで捻ってバレッタでざっくりと留め、外に出て思い切って何も考えず自転車を走らせた。
初夏の風が心地よい。
大学を出て、就職して、なんとなく住み慣れた町並みを改めて見渡す。
銀杏の並木道を抜け、閑静な住宅街を背に、床屋、本屋と小さな店がぽつりぽつり、その向こうに公園。
花屋。
ふと、思い出す。
小学生の頃、書いた文集に、《将来の夢はお花屋さん》。