転職したら双子のイケメンがついてきた


これは夢だろうか、まだ夢の続きなのだろうか。


乗ってきた車で町に出て、ブランド物の店が立ち並ぶ一角にやって来た。


「彼女に似合う服を」


「かしこまりました」


店員と自然なやり取りをする。常連なのだろうか。こんな店には当然ながら来たことはない。


ぽかんとする間に、あれやこれやとコーディネートされ、靴まで揃った。


ボディラインのわかる膝上丈のワンピースを着せられる。自分では絶対選ばないような服だ。


シンデレラか海外の映画で見た光景だ。
そして女子なら誰もが憧れるシチュエーションだ。


「後は髪型、ヘアサロンですね」


すごく高そうで白を基調としたお城のような美容院の2階に通され、メイクまで施された。


「神前様よ」


「連れの方、どなたかしら」


などと、上品そうな奥様やお姉様方の羨望の眼差しが注がれる。
何者なんだろう。神前という彼は。


「よくお似合いです、スタイルもよろしくていらっしゃるから」


綺麗な女性スタッフに、にっこりと微笑まれ、顔がひきつる。


「…あ、ありがとう、ございます……」


カラーとトリートメントを施され、ゆるふわに髪を巻かれ、上の方でポンパドールに纏められた。


「なんじゃこりゃあ……」


思わず呟いて、ハッと口を押さえた。


自画自賛なんて図々しい。
自分で言うのもおかしいが、馬子にも衣装とはこのことかと。



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