転職したら双子のイケメンがついてきた


鍵を取りだし、バイクのサイドバッグを手にしたとき、声を掛けた。


「あっ…」


あのバイクだ。
ハルを川に落としたときの。
そういえば背格好が似ている。


「…まさか…」


呟くように私が口にする。
こちらを見ると、


「……誰!?……榮喜!?なんで…」


驚く稲垣くん。
別人のようにメイクをし、ブランドの服に身を包み、男といるのだ。しかもすごいイケメンと。


半分、稲垣くんに向いたまま、真言さんが自分の唇を触る。
あれっ…??と私。そして静かに囁いた。


「…続けますか…??」


「えっ!?……あっ、……はい」


言っている意味もわからず、条件反射で口にしていた。


「久しぶりだね、どうしてたの??綺麗になって、見違えたよ」



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