転職したら双子のイケメンがついてきた
「うっ!!」
不慣れなヒールの踵が運よく足に突き立つ形になり、女性は痛みでバランスを崩した。
すかさず手を捻り上げ、背中に回す真言さん。
「放せっ!!茉莉子さまっ!!」
「やめないか!!佳以子(ケイコ)さん!!」
別の男性に怒鳴られ、佳以子と呼ばれた女性がハッとする。
「……貴女だったのね、手紙や無言電話や、合鍵を作って部屋に入ったの」
知っている人物のようだ。
「だって!!茉莉子さまのことずっと好きだったんだもの!!」
泣きながら叫ぶように。
同性への憧れという深い想いなのか、友達の延長の嫉妬なのか。
そういえば昔、私にも似たようなことがあった。
ずっと仲良しだと思っていた近所の女子が、いつの間にか転校生と仲良くなって寂しく感じたことがある。
「僕の気持ちはどうなるんだ!?」
「えっ…??」