転職したら双子のイケメンがついてきた
「困ります!!そんなこと仰られても」
警備員室に入ろうとするけれど、言ってみれば何の権限もない一般人だ。すんなりと入れるわけもない。
「どうしたの??」
と、通りかかったのは玖美だった。いつも通り髪を後ろに縛った、濃紺のスーツ姿だ。
「別件の研修も兼ねて来てたんだけど、何かあった??」
「どなたですか??」
一緒にいた、弁護士になりたてらしいスーツ姿の青年が、不思議そうに。
「イケメンですね、どういうお知り合いですか??」
可愛らしい顔立ちの線の細い若者だ。あまり頼りにはならなさそうだけれど。
興味深々に聞く青年を抑える。
「真来さんが、拐われました!!」
「はあ!?」
「恐らくここのロビーで何かあったんだと、防犯カメラの映像を見せてほしいとお願いしてたんです!!」
「そういうことなら協力お願いします。怪しいものではありませんので!!」
言って弁護士バッジと名刺を見せる。
「……ああ、はい、分かりましたよ…」
勝手なことしたら叱られるの僕なんだけどな、とまだ若い警備員が、しぶしぶドアを開けて中に入れる。