転職したら双子のイケメンがついてきた
が、日本の警察は、そんなに甘くはなかった。
検問だ。
私を拐った黒塗りのワンボックスカーは、その直後に引っ掛かり、呆気なく御用となった。
「真来さん、いないそうですよ??」
容疑者確保の連絡を受けた水嶌が、玖美に連絡する。
「そんな馬鹿な!?」
今度は私の捜索が始まった。
交番が、見つからなかったのだ。
そんな馬鹿な。
人目につかないように、町外れのひと気のない裏道を入った、山手の廃墟のような場所で車から降りたのだ。
明かりを頼りに大通りに出ようとしたけれど、土地勘もなく真っ暗で、どこにいるのかも分からなくなった。
要するに迷子だ。
そんな馬鹿な。
「俺の携帯、充電切れっす」
「バッグは、あれっ!?」
どこかに落としたようだ。
本当に身一つで、何もない。
さすがにワンピース一枚で、涼しくなり、腕を抱える私。
「…すいません、大丈夫っすか」
「ああ、うん、なんとか…はは」
笑うしかない。
どうしたものか。