不思議の国の物語。
あたしと燐火は走っていた。
銃声と逃げながら。
パァン。   パァン。
銃声が部屋に響く。
「り,燐火。 逃げたってしょうがないよ。」
「う? 何を言ってるのチョコちゃん。」
そうだった。 この子は…生まれつき耳が聞こえない。
逃げているのだってきっと…。
…あれっ? あたしは不思議なことに気が付いた。
燐火は耳が聞こえない,なのに銃声が聞こえる。
それは何故?
あたしは銃声が聞こえる。
けど燐火みたいに俊敏に動けなかった。
燐火はなんで,なんで…麻折が死んだって分かったんだろう。 あたしは不思議な感覚だった。



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