不思議の国の物語。

「ねぇ，燐火。　なんであなたは…。」
「なぁにチョコ？」
「なんであなたは耳が)聞こえていないふりをするの？」
「えぇ。　あたしはそんなことはしてないよ。」
引っかかった。　あたしは人を騙すことだけは強い。
「燐火，引っかかったね。」
「へ？　　あぁ。　そういうことね。」
燐火は一瞬考えたがすぐ気が付き頷いた。
「燐火。　あなたは耳が聞こえるわね。　でも，目は見えないけど。」
「うん。　そうだよ。」
燐火は否定せず肯定した。
「あたしは…前本当に耳は聞こえなかったけど，耳は手術とかでやっと聞こえるようになった。
けどそのせいで目が見えなくなった。」
ほら，見て。　そういって燐火は目を見せてきた。
その目は光りを灯っていないように濁っていた。
「だから，ここに来たの？」
「う，うん。　そんなところかな。」
燐火はこれからのことをあたしに教えてくれた。
ここから出るにはどうすればよいか。
次は誰が居るのか。
「そして，最後に言っておく。千世子。　あなたはここの世界では死ねない。
刺されたって銃で撃たれてもね。」
「う，うん。」
なんで「千世子」という名が分かったのかはよく聞かなかった。