不思議の国の物語。
「迷子の,迷子の子羊さん♪ どぉしてそこに居るのかな?♪
人を殺したいから?♪  もしかして快感を味わいたいから♪何故,何故そこに居るの?♪」
「おっ,お前はっ!」
そいつは俺が銃で撃ち,砂となって消えた「麻折」だった。
「フフッ。 何故って? あたしはこの世界でやり残したことがたぁっくさんあるからだよ♪」
その笑いは薄気味悪く,とても気味が悪かった。
「きっとねっ♪ あなたはあたしが死んだって思ったかもしれないけど♪ ここは,妄想の部屋。 ここならあたしは生き返るのよ♪  分かってるよね? 人殺し専門のJ君~♪」
「なっ,なんで。 お前がその名前を知ってるんだよ!」
そして麻折はニッコリと笑いながら言った。
「だって…あたしの家族とあたしはお前に殺されちゃったからね♪」
…俺は思い出す。 こんな幼い子を殺したのかを。
「んーっと♪ 分かんないのかなっ♪ しょうがないな。 名字を言ってあげるよ♪ 「切裂」って名字だよっ♪」
…切裂。  それは俺が人殺しに目覚めた家族の名だ。 
「…おにいちゃんっ♪」
そう言い麻折は俺に抱きつき耳元でいった。
「お前,死ねよ♪」
と。
そう,麻折は俺の妹だった。 そして,父は外国の人で母は日本人。 だから上の子はJ。
下の子は麻折と名づけたのだった。
でも,俺はその家族を殺し,逃げた。
そしてニュースで父,母は死に,妹は危険ながら生きていた。ということは分かっていたが…。
こんなとこで,会うとわな。
「お兄ちゃん,お母さんも,お父さんも死んでいったのに…。 その代わりに早くお兄ちゃん死ねよ♪」
「あぁ。 分かったよ。 ほら,お前が殺してみろよ。」
「うんっ♪ 言った通りにしてあげるっ♪」
麻折は俺を殺しにかかった。


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