不思議の国の物語。
「ようこそ。 俺の部屋へ。」
「…君が,黒戈君?」
「んー…。そーなんだけどクン付けはやめてくれねぇか。」
そういいながら髪をワシャワシャとする。
…異様に凄いな。 
そいつの容姿はジーパンにTシャツ。 普通の男の子の格好だった。
でも,一つだけ変だ…なんだ。 これ。 
「ん? あぁ,なんだ。 これか?」
そういって頭の上に咲いている花を指した。
…そっか! これか。  …。
「ってなんでぇぇぇぇぇぇえええ。」
「お前五月蝿い。 …いや,お前じゃなくて黒嵜(くろさき)千世子(ちよこ)。」
「ふぇ?」
「あぁ,すまん。 ここじゃあチョコだったな。」
あたしには何がなんだか分からなかった。
「まぁ,いいや。 チョコ。 …お前,麻折,そして燐火と会ったな。」
「う,うん。」
「肝心なことを教えてくれたか?」
「?」
なんだこいつ覚えてねぇらしい。 しゃーないな。 これ使うの面倒なんだよな。
「ちょっと来い,チョコ。」
「う…うん。」
「眼ぇ瞑って脱力しながら集中しろ。」
「う…うん。」
あたしは黒戈の言うことを聞いた。
「ちょっと我慢しろよ。」
そういいながら黒戈はあたしに近づいた。  …そして,黒戈はあたしの…。
頭を撫でた。
ワシャヤワシヤヤ…。
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