不思議の国の物語。
「はぃ,はぃ。 わかったよ。 あと荷物集めるから早く中に入れてくれ。」
「ううん。 あなた達の荷物は全て燃やしたわ。 着ているもの以外ね。 だからもうこの家には来なくていいわ。」
「…分かった。 じゃあ麻折。 行くぞ。 ここへ。」
まだ麻折は小学生だった。
「うんっ。 ここに行くのね。 じゃあね。 お母さん,いってきまーっす。」
その母親は知っているのにも関わらず…
「いってらっしゃい。」
そう言ってニッコリ笑って見送った。
「ねぇ,お兄ちゃん。 どこに行くの?」
まだ何も分からない麻折は,俺の後についてきた。
「ねぇったら,お兄ちゃん。」
「うっせぇな。 お前は俺についてくればいいの!」
「…ウッ,ウェェエエン…。」
な,泣かせちまった。 
俺は対処法に困るんだ。 
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