不思議の国の物語。
泣いたやつの対処法。…母さんはどうやってたっけ? 
えっと,きっと多分頭を撫でていたはず。
「な,な,泣くな。 俺が悪かったから,な。」
「お兄ちゃんの馬鹿~。」
「は?」
よ~く見てみると嘘泣きだった。 からかっていただけか?
「チッ,こいつめ。 後に見てろよ。」
「うっわぁ~。 お兄ちゃん口悪いよ?」
「元からだ。」
からかられたりしながらもちゃんと目的地に着いた。
「麻折,ここが俺たちの新しい家だ。」
そこを見るととても二人では住まないくらいの大きさだった。
「うっわぁ~。 大きいね!!」
俺にはその次の言葉がとても心に響いた。
「ここなら,お母さんとお父さんと一緒に住めるね!」
…本当のことは言えなかった。
「そ,そうだな…。」
頷くしか出来なかった。 
「な,なあ麻折。 実は…。 ここにお父さんもお母さんも来ないんだ。」
俺は決心して言った。 その家の中に入りくつろいでいたときだった。
「なんで? なんでなのぉ?」
麻折は疑問にしながら涙を流していた。
「結構難しいけどいいな。」
「う…うんっ。」
そして俺は母さんと父さんが離婚してそしてその母さんが再婚。 そして俺たちが邪魔になったことをこと細やかに伝えた。
「…そっか。 お母さんやお父さんはあたし達が嫌いなんだね。」
「…。」
俺は麻折のこの表情を一度も見たことはなかった。 本当に。 あの顔は。 本当に人をいや,家族を殺す,ということしか思っていなかったかもしれない。 あの顔は。 もう思い出したくもないんだ。
そういってJは頭を抱えていた。 
もう,俺の口からはいえない。無理だ。 と言っているように。


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